先週、世田谷文学館で行われていた『父からの贈りもの―森鴎外と娘たち展』に行ってきました(11月28日で終了)。森鴎外といえば、国語の教科書に載っていた『舞姫』がきっかけで一時夢中になったものですが、私は森茉莉の世界が大・大・大好きなあまり、会期中2~3回くらい行ってもいい!というくらいの心意気で楽しみにしていたのです。が、なかなか足を運べず、結局最終日前日に滑り込み。でも、全神経を集中して味わってきました!
鴎外の子煩悩は有名な話だけれど、今回の展示は、随筆家の妹・小堀杏奴の人生にもスポットが当たっていたのがとてもよかった。いちばん心に残ったのは、13歳の杏奴が、当時フランスにいた茉莉に送った父の死の手紙。便箋数枚に渡っているのだけれど、子どもの頃書いた手紙って、1枚目とても丁寧に綺麗な字で書き始めるのだけれど、感情が入ってくるとどんどん乱れてくるでしょう?杏奴の手紙もそんなふうで、それがまたリアルで、思わず胸を締め付けられました。
あたりまえに周りにいる人を全力で大事にしながら、自分なりの美意識を大切にして、なんでもないことを楽しんで暮らすことが、どれだけ尊く、愉快で素敵なことかを感じられる素晴らしい展覧会でした。図録を買ったので、寝る前に少しずつ眺めたりしながら、しばらく幸福に過ごせそうです。