大切にしているものは、たくさんある。
毎年着ているワンピースとか、何度も読み返した本とか。
グッとくる可愛いものとか、ためいきが出るほど素敵なものとか。
でも宝物は、たぶんそんなにない。
それは人との想い出がなければ、ただの「もの」だから
お世辞にもセンスがいいとは言えないものも多いのだけれど
だからこそ、宝物と呼ぶ所以なのだと思う。
目に付くところに置いてあるものもあるけれど、
たいていは無印良品のアルミBOXに、きっちりと封印されている。
そして開ける時以外は、その存在を忘れるようにしている。
それは「過去」だから、囚われたり、縛られたりしないように。
ただの落書きとか、コンビニで買えるようなお菓子の箱とか
自分以外の人にはまったく価値のないもの。
開けるたびに、何年経っても、胸の痛みや眩しかった季節がよみがえってしまうような。
そういうものを、私はいとしく思い、手放せずに生きていく人間なのだ。